考えられる方法

低コストで開発を行う場合、まず大手SIerに依頼するのは効率的とは言えません。 では、具体的にどのような方法があるのでしょうか。ここでは、代表的な4つの方法をご紹介します。

自社制作(内製)
既存の社員が社内で開発を行います。「開発用の社員を新たに雇用する」は含まれません。
※これは高コストになります。
フリーランス
フリーランスの検索サイトを活用して、条件に合ったエンジニアを探し、開発を依頼します。
2次請け・3次請け
システム開発は元請け→2次請け→3次請けと流れることが多く、実際の開発は2次請けや3次請けが担当します。これらの会社と直接契約する方法です。
開発しない
システム開発は一点物で開発コストがかかりますが、既存のサービスを購入して済ませる場合、ほとんどの場合で割安になります。

自社制作(内製)する

AIの進化によって、プログラミングは人間が一からコードを書くのではなく、自動生成によって効率的に開発できる時代になってきました。さらにノーコードやローコードといった開発環境も急速に普及し、専門知識が少なくてもシステムを形にできるようになっています。これにより、外部に委託するのではなく、自社でシステムを構築・運用する「内製化」を選ぶ企業も増えています。

メリット

1.社員のスキルアップ

  • 社員がシステム開発を担うことで、実務的な知識やスキルが身につきます。将来のシステム改善や新規プロジェクトにも応用でき、外部に頼らない強い組織づくりにつながります。

2.スピード感のある改善

  • 外注の場合は要件定義や見積、契約などの手続きに時間がかかります。内製であれば、担当者に直接依頼してすぐに修正や機能追加が可能なため、業務のスピード感を損ないません。

3.セキュリティ・機密保持

  • 開発過程で顧客情報や業務データを外部に渡す必要がないため、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。特に個人情報や機密性の高いデータを扱う業務では大きな安心材料となります。

4.業務とのフィット感

  • 日々の業務を理解している社員が開発を行うため、現場の課題や細かなニーズを反映したシステムを構築できます。その結果、使い勝手が良く、導入後の定着度も高まりやすいのが特徴です。

デメリット

1.適正人材の確保・判断

  • システム開発は適性が明確に分かれる業務です。必ずしも「やる気のある社員」が適任とは限らず、選定を誤ると成果が上がらないリスクがあります。

2.メンテナンスリスク

  • 内製システムは作成後に放置されがちです。しかし実際には、バージョンアップやサポート切れなど外部要因に対応するため、継続的な更新とフォローが欠かせません。

3.属人化リスク

  • ドキュメントが不十分だと、特定の社員しか理解できない仕組みになりがちです。その社員が退職・異動すると引き継ぎができず、運用が困難になる危険があります。

4.潜在的コスト

  • 社員の人件費も開発コストに含めると、本当に外注より安いとは限りません。特に兼任の場合、本来の業務が圧迫され、新たに人員を補充せざるを得なくなるケースもあります。

5.専門知識不足による品質低下

  • 本業が別にある社員が開発を担当すると専門性が不足しがちです。その結果、外部の専門企業が持つベストプラクティスやセキュリティ知識を取り入れられず、品質の低いシステムとなる恐れがあります。

実際のところ

『やる気がある人』『向いてる人』
プログラミングを趣味で楽しめる人は創作意欲が旺盛でクリエイティブですが、業務システム開発ではその創造性が「自己流」となり、逆効果になることもあります。
求められるのは派手さよりも丁寧さや几帳面さ。ただし、几帳面すぎても精神的に負担となるため、バランスを取れる人は意外と少ないのです。
ノーコードは万能?
近年、自社開発の手段としてノーコードが注目を集めており、テレビCMなどでもよく見かけるようになりました。
ただし「作りやすさ」と「使いやすさ」の両立は難しく、実用性を高めるにはJavascriptでのカスタマイズやプラグインの導入が必要になることもあります。結果として、属人化やプラグイン提供会社のサービス終了といったリスクを抱える可能性があります。

デメリットを解消するために

  • IT専門家とコードをシェアすることをお勧めします。外部企業であればそのままメンテナンス契約とし、担当者が移動した際の引き継ぎのサポートもお願いできます。
  • コードの作成をお客様自身が行い、要所で専門家からアドバイスを受ける『伴走サポート』という方法があります。オンラインでつながりながら、必要に応じて専門家の意見を取り入れるスタイルです。
    開発の主体はあくまでお客様自身ですので、実践を通じてノウハウを社内に蓄積できる一方、専門家のサポートを受けられる安心感も得られます。
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フリーランスにお願いする

ランサーズ、クラウドワークス、ココナラといったクラウドソーシングでは、多くのフリーランスエンジニアが活動しており、Webサイト制作からシステム開発まで幅広いスキルを持つ人材を見つけられます。企業へ直接依頼するよりもコストを抑えられるうえ、案件ごとに柔軟に人材を選定できるため、短期的な開発やスポットでの依頼にも適しており、スピードと費用対効果を重視する企業にとって魅力的な選択肢となります。

メリット

1.コストを抑えやすい

  • 法人の受託会社に比べて、中間マージンや固定費が少ないため、割安で依頼できるケースが多くあります。

2.柔軟でスピーディー

  • 意思決定が本人に直結しているため、要望への対応が迅速です。小規模な追加開発や修正でも気軽に相談できます。

3.専門性をピンポイントで活用できる

  • フリーランスは個人単位で指名できるため、特定の技術(例:Ruby on Rails、React、AWSなど)に強いエンジニアを直接選ぶことが可能です。

4.長期的な伴走が可能

  • 相性が良ければ、システムをよく理解した『外部CTO』のような立場で長期的に関わってもらえることがあります。

5.コミュニケーションのしやすさ

  • 直接エンジニアとやり取りできるため、要件や細かなニュアンスが伝わりやすく、認識の齟齬も起きにくくなります。

デメリット

1.突然終了のリスク

  • 病気や事故、他案件の優先などにより、急に稼働できなくなる可能性があります。副業禁止の会社に転職した場合、案件を途中終了されるリスクもあります。

2.規模拡大への弱さ

  • 開発者が1人であるため、人数を増やして開発スピードを上げることが難しいです。大規模開発や複数案件の並行開発には不向きで、企業にあるチーム体制やレビュー体制も不足しがちです。

3.品質やセキュリティ保証が弱い

  • 法人の受託会社にはテスト体制やセキュリティ監査がありますが、フリーランスの場合は自己流になりやすく、品質のばらつきやセキュリティ面の不安が残ります。

4.契約・法務面の不安

  • 契約が簡素な場合、納期・著作権・保守責任などでトラブルに発展しやすいです。また、保証や賠償も法人ほど強固ではありません。

5.ドキュメント不足・属人化

  • 納品物が開発者本人しか理解できない状態になることがあります。その場合、将来の引き継ぎや保守が困難になるリスクがあります。

実際のところ

フリーランスはずっと続く?
最近、フリーランスを名乗りながら転職活動に力を入れている方が増えているように感じます。
有能なフリーランスであれば、いずれどこかの社員になる可能性があり、その際にはフリーランス時代の案件をすべて手放すリスクも考慮しておくべきでしょう。

デメリットを解消するために

  • 望んでフリーランスになったのか、それとも転職活動中に一時的にフリーランスを名乗っているのかを見極めることは重要です。やや意地悪な質問に感じられるかもしれませんが、「なぜフリーランスをしているのか」「もし正社員のオファーがあったらどうするか」といったヒアリングを行うのも有効でしょう。
  • フリーランスの選考やパフォーマンス評価に不安がある場合は、『ITコンシェルジュ』のサービスを活用するのも一つの方法です。
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2次請け、3次請け企業に直接頼む

開発を個人ではなく企業に依頼したいものの、コストはできるだけ抑えたいという場合は、実際にコーディングを担当している2次請けや3次請けの中小企業と直接契約する方法もあります。この場合、開発を担当するエンジニアと比較的近い距離でやり取りできるため、仕様の細かい調整や進捗確認もしやすく、間に複数の業者が入る場合に比べてコストや手間を削減できる可能性があります。

メリット

1.コスト削減

  • 元請けを通さない分、中間マージンが少なく、コストを抑えて開発を依頼できる可能性があります。

2.開発現場に近い

  • 実際に開発を行う層と直接やり取りできるため、要望が伝わりやすくなります。発注経路の短縮により、情報ロスも軽減できます。

3.柔軟な対応

  • 大手元請けに比べて契約形態や開発プロセスが柔軟で、小規模な改修や試作なども依頼しやすい点が強みです。

4.スピード感

  • 意思決定プロセスが短いため、仕様変更や改修にスピーディーに対応できます。開発サイクルを迅速に回せるのもメリットです。

5.特定技術に強い

  • 2次請け・3次請け企業は、RailsやPHP、モバイルアプリなど特定技術に特化している場合が多く、その専門性を直接活用できます。

デメリット

1.上流工程の弱さ

  • 下請けを専業とする会社では、要件定義や業務分析は元請けが担当することが多く、開発に特化しています。そのため、発注側がIT要件を整理する力に不足があると、期待通りのシステムにならないリスクがあります。

2.保証・信用の弱さ

  • 大手SIerに比べ、倒産リスクや責任範囲が不明確な場合があります。また、一部の会社では契約・セキュリティ・保守体制が十分でないこともあり、リスクが残ります。

3.リソースの制約

  • 小規模な会社では人員が限られるため、大規模開発や短納期プロジェクトには対応が難しい場合があります。

実際のところ

本当に自社開発?
3次請けに案件を流すことを生業とする2次請け企業も存在します。
プロジェクトマネジメントを適切に行う会社であれば問題ありませんが、元請けから届いたメールを単に下請けに転送するだけの会社もあるため、注意が必要です。

デメリットを解消するために

  • 元請けと下請けの両方の経験を持つ会社を選ぶと安心です。
    所属エンジニアにプロジェクトマネージャーやアーキテクトの経験者がいるか、さらにその人材を実際にプロジェクトへ割り当ててもらえるかを確認しましょう。
  • エンジニアを直接雇用している会社を選ぶことも重要です。契約書に「外注エンジニアや協力企業を使用せず、開発は直接雇用しているエンジニアのみで行う」と明記してもらうと、より安心です。
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開発しない(既存サービスを利用する)

一見「見も蓋もない」項目に思えますが、「本当に作る必要があるのか」という視点は常に持つことが重要です。開発案件の相談を受けた際には、「そのサービスは既に存在します。購入したほうが良いでしょう」とアドバイスすることも少なくありません。

メリット

1.初期コストが安い・導入が早い

  • 開発費がかからず、ライセンスや利用料を支払うだけで利用可能です。数時間から数日で稼働できる場合もあります。

2.品質・安定性が高い

  • 多くの企業で利用されており、動作検証や改善が進んでいます。バグ修正やセキュリティ対応もベンダー側で継続的に行われます。

3.最新機能が使える

  • SaaS型ならアップデートが自動で反映されます。法改正や業界トレンドに対応した新機能も迅速に提供されます。

4.運用負荷が低い

  • インフラやセキュリティの保守をベンダーに任せられるため、社内にIT担当者が少なくても安心して運用できます。

5.ベストプラクティスが組み込まれている

  • 業界標準の業務フローがシステムに組み込まれており、業務の効率化に直結します。

デメリット

1.自社業務とのフィット感不足

  • 業務フローをシステムに合わせる必要があります。独自業務が多い企業では使いづらさが生じ、結果的に『Excel併用』などの手間が増えるリスクがあります。

2.カスタマイズ制限

  • 既成品は自由に改造できないため、特殊な機能が必要な場合は追加開発費がかかるか、そもそも実現できない場合があります。

3.ランニングコスト

  • SaaSは毎月の利用料が発生するため、長期的には自社開発よりコストが高くなる可能性があります。ユーザー数や機能拡張に応じて費用が増大する場合もあります。

4.データのロックイン(ベンダーロックイン)

  • 他システムへの乗り換え時にデータ移行が困難になる場合があります。また、サービス終了や料金改定の影響を受けやすいリスクがあります。

5.競争優位性が作りにくい

  • 既成品は他社も利用可能なため、差別化にはつながりにくく、戦略的にITを活用したい場合には不利になるリスクがあります。

実際のところ

業務を変えるか、システムを変えるか
既存サービスを本来の用途から逸脱した使い方をしているケースをよく目にします。その結果、システム本来の機能を十分に活かせず、現場では「使えない」と不評を買ってしまうことも少なくありません。既存サービスを導入する場合は、業務フロー自体をサービスの仕様に合わせる柔軟性が求められます。「我々の業務ありきでシステムがそれに合わせるべき」と考える場合は、システム開発の発注を検討したほうが良いでしょう。

デメリットを解消するために

  • 「買う」か「作る」かという選択は、システム導入において最初に直面する最も大きな決断です。一度、外部の専門家に意見を聞いてみることで、自社にとって最適な判断を下す手助けになるかもしれません。
  • すでに購入したシステムを正しく活用するには、導入ベンダーに技術に詳しい担当者を確保しておくことが重要です。 最近のサービスではカスタマイズ用にREST APIが公開されている場合もありますが、これを活用するにはプログラミングやシステム設計の知識が必要です。 必要に応じて、こうした対応はシステム開発会社に相談するのが適切でしょう。
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月額費用相場

自社制作(内製)

??円

/月

担当した人員の人件費を基に算出してください。

フリーランス

50万円〜

/月

1人月あたりの想定です。
ハイスキルのフリーランスの場合、数倍の価格になることもあります。

2次請け・3次請け

70万円〜

/月

1人月あたりの想定です。
担当者が2人、3人になる場合は、人数分を掛けた費用が必要になります。

開発しない

??円

/月

各商品の価格情報をご参照ください。
特に、1アカウントあたりの費用には注意が必要です。

著者略歴
1973年東京都生まれ。京都大学大学院工学研究科を修了後、製薬企業でバイオインフォマティクス研究に従事。その後、バイオベンチャーでソフトウェアエンジニアとして勤務し、独立を経て2009年に株式会社アトアグランスを設立。
2児の父。最近の趣味はSAPIXの算数問題を解くこと。

著者画像

小関洋平(Web侍)

株式会社アトアグランス シニアアーキテクト